最近、NHKなどでも「不安症」が取り上げられているようですね。
不安そのものは誰にでも起こる自然な反応ですが、日常生活に支障が出るほど続く場合、それは単なる性格ではなく「全般不安症(GAD)」という状態かもしれません。
全般不安症は、適切な治療によって改善が期待できる病気です。
■ 全般不安症(GAD)とは
全般不安症(GAD)は、特定の理由がはっきりしないまま、さまざまなことに対する「心配」が慢性的に続き、それを自分でコントロールできなくなる状態です。
特徴は「ひとつの悩み」ではなく、仕事・健康・家族・将来など、複数の領域に不安が広がることです。
このため本人の努力や性格の問題として片付けられやすい一方で、実際には脳の不安システムの過活動が関係すると考えられています。
なお、全般不安症は以前「全般性不安障害」と呼ばれていました。
■ 主な症状
全般不安症では、心の症状と身体の症状がセットで現れます。
ずっと心配が頭から離れない
物事を悪い方向に考え続けてしまう
集中できない
眠りが浅い、寝つけない
筋肉の緊張(肩こり・こわばり)
動悸、息苦しさ、発汗
疲れやすい
重要なのは、これらが短期間ではなく長期間(目安として6か月以上)続くことが多い点です。
■ このような状態はありませんか?
心配事が次々と浮かび、考えるのをやめられない
「もし悪いことが起きたら」と繰り返し考えてしまう
周囲から「考えすぎでは」と言われることがある
不安のために眠れないことがある
いつも気が張っていて疲れる
肩こりや疲労感がなかなか取れない
不安によって仕事や家事に集中しにくい
これらに当てはまるからといって全般不安症と診断できるわけではありませんが、生活への影響が大きい場合は相談を検討してもよいかもしれません。
■ なぜ見逃されやすいのか
全般不安症は特徴的な症状が少なく、うつ病や不眠症、他の不安症と併存することも多いため、診断が難しい病気の一つです。
また、「心配」という症状自体が誰にでも起こるため、病気として認識されにくいという特徴があります。
不安そのものより、
眠れない
疲れやすい
肩こりが続く
動悸がする
といった身体症状が前面に出ることもあります。
その結果、長期間つらさを抱えたまま過ごしてしまうことがあります。
■ 治療について
全般不安症に対しては、有効性が確認されている治療法があります。
一般的には、
SSRI・SNRIなどの薬物療法
認知行動療法(CBT)
必要に応じた抗不安薬の使用
などが行われます。
これらは、不安そのものを「気合いで抑える」のではなく、不安による悪循環を改善し、日常生活への影響を軽減することを目的としています。
■ 当院での治療について
全般不安症の治療では、不安を和らげるだけでなく、不安が生じやすくなっている背景にも目を向けることが大切です。
当院では、症状に応じた薬物療法に加え、一時的な症状改善だけでなく再発予防も重視しています。
そのため、
不安症状に対する適切な薬物療法
栄養状態や生活習慣の見直し
不安になりやすい原因の整理
不安を強める考え方や受け止め方の見直し
ストレスとの付き合い方の工夫
など、一人ひとりの状況や背景に合わせた治療を行っています。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬の処方については、依存や耐性などのリスクを踏まえ、慎重に行っております。
同じ「不安が強い」という症状であっても、その背景は人によって異なります。症状だけでなく、その方の生活環境や考え方の傾向も含めて一緒に整理し、無理のない改善を目指していきます。
■ 受診の目安
次のような状態が続く場合は、相談の目安になります。
不安が頭から離れない状態が続く
理由のない心配で疲れ切っている
睡眠や仕事に影響が出ている
身体の不調が続いているのに原因がはっきりしない
早めの相談によって、回復までの負担が軽くなることがあります。
■ まとめ
全般不安症(GAD)は珍しい病気ではなく、慢性的な「止まらない不安」が中心となる状態です。
性格や気の持ちようではなく、治療の対象となる医学的な状態であり、適切な介入によって改善が期待できます。
「心配しすぎなだけ」と抱え込まず、日常生活に支障が出ている場合には専門家への相談も選択肢の一つです。










