セフィロトの実

パニック障害。(当院での考え)

研修医の頃から割としばらくは、「パニック障害」の方が受診されるのをいつも心苦しく思っていました。当時はフルボキサミンを大量に処方するなどの治療がスタンダードとされていましたが、それでよくなった人を私は見たことがありませんでしたので。でも栄養療法を取り入れてからは、そういった気持ちはずいぶん楽になりました。

 

当院でのパニックの治療で大事と考えていることは、当然ですがまず栄養状態を整えることです。これでかなり良くなることも多いですが、またパニックになるのではないかという予期不安については癖や習慣になってしまっていることが多いので、薬や栄養というよりも行動療法的な「リハビリ」が必要と思います。また、「パニック障害でいること」に隠されたメリットがないかも確認する必要があります。

そもそも不安が強すぎて落ち着かない、眠れずに休めていないなどの場合には、状況によって薬(漢方薬を含む。)を使った方が良いかもしれません。

 

パニック障害の本質的なテーマは、「息苦しさ」、「枠」です。

仕事や人間関係などで「息苦しさ」があるとか。「やってみたい事がある」、「自由にやりたい」のに自分で「枠」を作って自分を閉じ込めてしまっている、そこから出たいのに出られないとか。

当院でみてきたパニックの問題を持つ方々の本当の姿は、自分で自由にやりたい、自分や社会の枠を超えていきたい、向上心や自立心のある真面目な人たちばかりです。もともとは旅行(特に海外。)が大好きというのも「パニックの人あるある」です。(「パニックの人あるある」は、他にもいろいろありますが、皆さんかなりパターン化され共通した性質を持っているので非常に興味深いです。)こんな方々が本来の姿でのびのびと生活や仕事ができたら、きっと社会はもっと良くなっていくのだろうなといつも思って応援させていただいています。実際、パニックを乗り越えられた方は、それまでよりずっと自分らしく自由で楽しそうです。

「本を読みまくったり、ネットでいろいろ検索して、まだ起きていない先の先のことまで考えすぎてしまう」のも「パニックの人あるある」ですが、「パニック障害は治らない。」というようなネットなどでの情報を安易に鵜呑みにして自分のこれからを決めつけるようなことはしないでほしいなと思います。

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