ブログ「セフィロトの実」

感覚の奥にあるこころの声 ― 過敏さや痛みを理解する

感覚は絶対ではない

感覚過敏や原因のはっきりしない痛みなどの感覚の問題について、「生まれつきだから仕方ない」、「検査で異常がないのだからうまく付き合っていくしかない」と言われ、つらさを抱えたまま過ごしている方は少なくありません。

本当に改善の余地はないのでしょうか?

当院はこころを診るクリニックですので、原因不明のものなども含め、まずはこうした感覚の症状を生まれつきの問題や一生変わらない問題としては考えず、こころや気持ちの面から改善の方法を探っていくことにしています。その中で、感覚の問題には、その人がこれまでに経験してきた出来事や抱えてきた感情、物事のとらえ方などが、深く影響しているというケースを多く見てきました。

 

知覚は「経験を通して作られる」

人は生まれながらにして感覚を感じる力を持っていますが、その感じ方は経験や学びによって少しずつ形づくられます。 刺激はまず感覚として受け取られますが、その後、脳はこれまでの経験や学習、感情の記憶に基づいて刺激に意味を付けます。 そのため、感覚は 刺激 → 知覚 → 意味づけ(経験や感情に基づく解釈) → 体験(つらさなど。) という過程を通して生じます。

ここで重要なのは、意味づけの部分はその人のいままでの中で形づくられてきたものだという点です。

 

過敏さや痛みは「その人らしい反応」として現れることがある

同じ刺激でも、人それぞれ感じ方が異なるのは不思議なことではありません。

これまで我慢を重ねてきた 強い緊張や不安を抱え続けてきた 安心できる環境が少なかった といった経験は、脳に「警戒することが必要だ」という学習を残します。 その結果、身体は過敏さや痛みという形で、その人なりに身を守ろうとする反応を示すことがあります。 これは異常というよりも、その人の経験に即した、意味のある反応と考えることができます。

 

知識だけで解決するわけではない

感覚や痛みの仕組みを知ることは有意義ですが、それだけで症状が変わるわけではありません。

大事なのは、 自分がどのような経験をしてきたのか どんな感情を抱えやすいのか どのような場面で症状が強まるのか といった自分自身の理解を通して、感覚に意味づけをしている感情の問題をみることです。 知覚すること、自分の深いところにある感情の問題。この二つは別々のものではなく、強く結びついています。

 

自分を理解することが、感覚の変化につながる

自分が気付かないようにしていた本当の気持ちを理解できるようになると、感覚の受け取り方が変化することがあります。 それは、無理に考え方を変えるということではありません。 自分の反応に意味があると分かることで、脳と身体の警戒が少しずつ緩む、というような変化です。

 

感覚の問題は、その人の経験と深く結びついている

感覚の問題は、単独で存在している症状ではなく、 その人が、何を感じ、何を守ろうとしてきたのか、のようなところと深く結びついています。

自分の内的世界と外側の現実の接点である、知覚。

自分の感覚を理解することで外の世界との関わり方も見えてきます。

 

最後に

感覚の問題の理由もひとそれぞれです。このアプローチも一つの方法にすぎませんし、誰でもが簡単にできるというわけでもありませんが、こんな方法もあるんだなと参考になれば幸いです。

 

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